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オートファジーの謎 を紐解く その6

オートファジーの謎 を紐解いてます。

第一章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
第二章 酵母でブレークしたオートファジー研究
第三章 自分を食べて飢餓に耐える
第四章 細胞の性質を変えるためのオートファジー
第五章 細胞内を浄化するオートファジー
第六章 相手を狙い撃ちする選択的オートファジー
第七章 免疫系でも活躍するオートファジー
第八章 オートファジーの研究最前線

第六章 相手を狙い撃ちする選択的オートファジー
これまでの章はオートファジーは基本的に非選択的であると述べてきた。最近の研究からその膜を使って一部は分解相手を識別していることが明らかになってきた。オートファゴゾームの膜の受容体とは何か?現在わかっているものは酵母細胞ではAtg8、哺乳類ではLC3という分子である。(LC3はオートファジーと関係ないタンパク質とも結合する)オートファジーによって選択的に分解されるものの代表はp62である。p62は炎症、肥満、骨代謝などの細胞内信号伝達に主に関わっているタンパク質であるが、なぜかLC3と結合する。p62はいつもオートファジーによって分解されており細胞内に適量のp62が存在するよう調整されている。p62が蓄積するとどうなるか?⇒Nrf2という転写因子を活性化する。Nrf2は酸化ストレスの時に発動される転写因子である。本来よい働きのようであるが、暴走すると悪い方向に働くらしい。オートファジーによって選択的に分解されるものの一つに不良ミトコンドリアもあると仮定されている。ミトコンドリアはATPを作る過程で膜内外に電位差が生じるがこの電位差がなくなるとオートファジーによって分解されると仮定されている。
パーキンソン病は脳の黒質に存在するドーパミン産生細胞が消失することにより発症する疾患である。なぜドーパミン産生細胞が消失するのかというとミトコンドリアの機能障害が関与しているらしいことがわかっている。また、家族性パーキンソン病の原因遺伝子の多くはミトコンドリアに関係がある。ユール博士らはパーキンという遺伝子は膜電位の消失したミトコンドリアに結合しこの不良ミトコンドリアをオートファジーに導くことを発見した。もしパーキンが機能しないと細胞内に不良ミトコンドリアが存在することになってしまう。実はパーキンはユビキチンリガーゼであって何らかのタンパク質にユビキチンをつける働きを持っている。パーキンは現在、世界中で研究中である。赤血球は分化の過程で核を細胞外に出し、ミトコンドリアなど細胞小器官を分解する。これはミトコンドリアが不良なのではなく、必要ないからである。赤血球のミトコンドリア分解の一部はオートファジーによる可能性が指摘されている。血液細胞だけのオートファジー・ノックアウトマウスを作製すると、そのようなマウスは重篤な貧血を来し、分解されずに残っているミトコンドリアが正常より多かった。しかしオートファジーを起こさないとはいっても細胞小器官はほとんど分解されていた。これは未知なる分解系の存在を示唆しているのだ。解くべき課題は多い。
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オートファジーの謎 を紐解く その5

第一章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
第二章 酵母でブレークしたオートファジー研究
第三章 自分を食べて飢餓に耐える
第四章 細胞の性質を変えるためのオートファジー
第五章 細胞内を浄化するオートファジー
第六章 相手を狙い撃ちする選択的オートファジー
第七章 免疫系でも活躍するオートファジー
第八章 オートファジーの研究最前線

第五章 細胞内を浄化するオートファジー
私たちの身体を構成する細胞にはそれぞれ寿命がある。たとえば赤血球は120日、腸上皮細胞は5日、神経細胞は約100年。肝細胞は約1.5年。心筋、骨格筋もゆっくりと言われている。細胞は同じでも、細胞内は入れ替わっているのである。ユビキチン・プロテアソーム系によるごみ処理を復習しよう。不要となったタンパク質、傷がついて変性したタンパク質がターゲットとなりプロアソームによって分解される。どのタンパク質を分解するかという決断はどのタンパク質にユビキチンをつけるかという決断であり、これはユビキチン・リガーゼによってなされている。ユビキチン・リガーゼは常に細胞内を監視している。哺乳動物では約1000種類のユビキチン・リガーゼが存在すると言われている。ヒトの遺伝子は約2万個強。このうち1000個がユビキチン・リガーゼ関連遺伝子であるとすると当然病気の原因にもなりうる。実際、ある神経疾患ではその異常が関与している。最近の研究からオートファジーも細胞内品質管理に重要だということがわかってきた。前章で神経細胞はあまりオートファジーが起こっていないといったが、目立たない程度にはオートファジーはおこしている。これを基底レベルのオートファジーという。小松博士は神経細胞でのみATG7遺伝子欠損するマウスを作製した。正常に生まれてくるが生後4週間で運動機能に異常が出てくる。脳脊髄を顕微鏡で観察してみると、神経細胞の中に多数の凝集体(細胞内のタンパク質が変性してしまい、細胞内で小さなかたまりをつくってしまう。そのかたまりのこと)が貯まっていることがわかった。オートファジーが正常に起こらないと細胞内にゴミが貯まってしまうのである。ゴミが貯まるだけではない、一部の細胞は変性して,死滅してしまうのである。神経細胞のみならず、体中のさまざまな細胞でこの現象が確認されている。肝臓、骨格筋、心筋ではオートファジーを欠損させると、細胞が肥大化し、凝集体が蓄積する。そのままオートファジーが起こらないままだと、肝不全、筋委縮、心不全が現れる。おそらく寿命の長い細胞には、オートファジーが必須なのだろう。逆にみると、このごみ処理機能のおかげで、細胞寿命を長くすることができたのではないか。単細胞生物の場合は細胞の寿命が○分~○時間とタンパク質の寿命より短い。この場合はオートファジーはしばしば遭遇する飢餓に対応する手段である。しかし多細胞生物は個体寿命が延び、細胞の使い捨てだけでは生命維持が困難となった。そこでオートファジーを細胞浄化システムとして転用したのではないか。オートファジーをさぼるとなぜゴミが貯まるかは諸説ある。またオートファジー不能は腫瘍を誘発する。筆者らは、ATG5部分欠損マウス、肝臓特異的ATG7欠損マウスで肝腫瘍(良性だが)が発生することを確認して報告した(2011年)。ではこの腫瘍発生の原因は何なのであろうか?ミトコンドリアの品質低下という可能性がある。ミトコンドリアはエネルギーであるATPを作り出す過程で、活性酸素という副産物を作る。これはタンパク質や遺伝子を傷つける。オートファジー不全細胞を実際に調べてみると高度に酸化ストレス状態にあることがわかっている。活性酸素の過剰産生が続くと核ゲノムのDNAも損傷する。オートファジーが不全⇒ミトコンドリアの不良化⇒核を障害。という仮説である。

オートファジーの謎 を紐解く その4

“オートファジーの謎”を紐解く
第一章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
第二章 酵母でブレークしたオートファジー研究
第三章 自分を食べて飢餓に耐える
第四章 細胞の性質を変えるためのオートファジー
第五章 細胞内を浄化するオートファジー
第六章 相手を狙い撃ちする選択的オートファジー
第七章 免疫系でも活躍するオートファジー
第八章 オートファジーの研究最前線

第四章 細胞の性質を変えるためのオートファジー
この章ではオートファジーと発生の話である。ヒトは60兆個の細胞でできているが、元はといえばたった一つの受精卵だったのである。前章で述べたGFP-LC3受精卵を観察してみた。8細胞期まで活発に観察できた。では発生時期におけるオートファジーの目的は何のだろう。ここでひとつの矛盾に突き当たる。ノックアウトマウスを作ったのだが、このマウスは胎生期は死なずに生まれてくる。オートファジーができないのであれば、胎生期に死んでしまってもよいものなのに?なぜ?実は落とし穴があったのである。それが母性効果であった。母親由来のmRNAなどが細胞質に残っていて完全なるノックアウトマウスではなかったのである。その後、著者は完全なノックアウトマウスの作成に成功した。そしてこの完全ノックアウトマウスは4~8細胞期という非常に短い時期に死んでしまうことが確認されたのだ。やはり、発生にオートファジーは大切だったのである。

オートファジーの謎を紐解く その3

“オートファジーの謎”を紐解く
第一章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
第二章 酵母でブレークしたオートファジー研究
第三章 自分を食べて飢餓に耐える
第四章 細胞の性質を変えるためのオートファジー
第五章 細胞内を浄化するオートファジー
第六章 相手を狙い撃ちする選択的オートファジー
第七章 免疫系でも活躍するオートファジー
第八章 オートファジーの研究最前線

第三章 自分を食べて飢餓に耐える

オートファジーはいつどこで起きるのだろう。まずは栄養飢餓で活性化される。マウスを一晩飢餓にすると肝臓腎臓でオートファジーが起きることが観察されている。これまでの研究は電子顕微鏡に頼りすぎていたが、このテクニックは難しく時間もかかる。吉森博士らは電子顕微鏡を使わずにオートファゴソームを光らせるという方法を用いた。2008年ノーベル化学賞となった下村教授のクラゲタンパク質を用いる方法である。遺伝子組み換え技術によりクラゲ蛍光タンパク質GFP遺伝子と哺乳類動物のオートファゴソームに結合しているLC3タンパク質をつなげてGFP-LC3融合遺伝子を作った。オートファゴゾームが緑色に光るというものである。著者はこれそのものをマウスに試した。マウス受精卵に直接、導入した。これによって、いろいろなことがわかった。まず多くの臓器でオートファジーがおこっていた。心臓は1日の絶食でオートファジーをおこす。膵臓の外分泌細胞、腎臓でも活発化する。これと対照的に脳はほとんど活発化しない。脳のもっとも必要なのはグルコースである。また、飢餓の時、肝臓で作られるケトン体は脳の第二の栄養素である。脳みずからオートファジーを発動しなくてもよいのかもしれない。GFP-LC3マウスによる観察では胎児期のマウスのオートファジーはそれほど活発ではないにもかかわらず、新生児期は活発に行われていることがわかった。生まれたての赤ちゃんは大変な飢餓状態にあるが、飢餓には弱くはない。このためオートファジーが活発に行われるのだろうと仮説がたてられる。著者らはATG5ノックアウトマウスを作った。4分の1の確率でノックアウトマウスは生まれてくる。そしてほぼすべて12時間後死亡する。細胞を調べるとオートファジーの機能が損なわれていることが確認された。この時の正常マウスとノックアウトマウスの違いであるが、臓器のアミノ酸濃度が生後10時間で4割低かった。この結果は2004年Nature誌に報告した。さてわざわざ体を分解して作ったアミノ酸の使い道はなんなのか?一つはタンパク質の合成材料。二つ目はエネルギー源。三つめはグルコースへの変換(糖新生)と考えられている。

オートファジーの謎 を紐解く その2

第一章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
第二章 酵母でブレークしたオートファジー研究
第三章 自分を食べて飢餓に耐える
第四章 細胞の性質を変えるためのオートファジー
第五章 細胞内を浄化するオートファジー
第六章 相手を狙い撃ちする選択的オートファジー
第七章 免疫系でも活躍するオートファジー
第八章 オートファジーの研究最前線

第二章 酵母でブレークしたオートファジー研究

オートファジーはごく日常的な生命活動から病気の形成にいたるまでさまざまなところで私たちと深く関わっている。しかし研究がすすめられたのはわずかこの10年たらずである。最も困難だったのはオートファジー分子の特定であっただろう。さてオートファジーの発見に貢献したのは酵母であった。出芽酵母を用いた研究の利点は以下である。全ゲノム配列が明らか。イントロンがほとんどない。倍加時間が2時間と速い。保存が容易。1倍体でも生育可能。1倍体と2倍体の変換が容易などなどである。大隅博士は出芽酵母の液胞の主要な分解酵素を欠損した変異細胞を使うと何かみえるのではないかと観察していたところ液胞の中で何か小さな顆粒状の物が激しく動いていた。これはオートファゴゾームに含まれていた、細胞質成分が液胞の中に顆粒状となっていたものであった。つまり酵母細胞にもオートファジーのシステムが備わっていたのであった。大隅博士はオートファジーのできない酵母の突然変異体を探して単離することから始めた。出芽酵母細胞を処理して遺伝子にキズをつけ個別に増やして、オートファジーに異常が起こってないか検査する、大変な作業だった。これでオートファジー不能生物が誕生したこれはapg1変異体と名付けられた。このオートファジー不能細胞は生きてはいるが飢餓に弱いことがわかった。飢餓時に必要なタンパク質を作って生きぬかなければならないのに、この時タンパク質合成が間に合わず、早死にしてしまう。ここまでの話は1倍体の話であるが、2倍体(apg1 /apg1)でも飢餓に弱く、胞子形成が起こらない。オートファジーに必要な遺伝子はAPG1遺伝子と名付けられた。これはある種のリン酸化酵素をコードしていることが予測された。細胞内の情報伝達にリン酸化は必要なので、このオートファジー因子はオートファジーを引き起こす誘導役として働いていたのではないか。それではオートファジーは一つの遺伝子で十分なのだろうか。飢餓に弱い細胞を探すことによって、結果的には14種類の不能変異体が同定された。この論文は1993年の「FEBS Letters」に載っている。大隅博士はさらに4つの遺伝子を同定した。一方、世界ではヒトやマウスの全ゲノムDNAが解読されていた。これは恩恵であった。つまり酵母で分かった遺伝子配列と似た配列がヒト、マウスで存在するとわかってきたのである。その後オートファジー遺伝子はほとんどの真核生物に備わっていることがわかった。原核生物にはない。1998年以降哺乳動物のapg1遺伝子がいくつか同定され始めた。2000年ころからこれらの研究に火がついた。

オートファジーの謎 を紐解く その1

今回はオートファジーという
細胞の働きについて
ご紹介します。
参考書は
水島昇先生著”オートファジーの謎”です。
知る人ぞ知る
細胞の摩訶不思議なでも重要な働きをご紹介します。

第一章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
第二章 酵母でブレークしたオートファジー研究
第三章 自分を食べて飢餓に耐える
第四章 細胞の性質を変えるためのオートファジー
第五章 細胞内を浄化するオートファジー
第六章 相手を狙い撃ちする選択的オートファジー
第七章 免疫系でも活躍するオートファジー
第八章 オートファジーの研究最前線

第一章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
私たちは毎日約70gのタンパク質を食べている。だが、毎日200gのタンパク質を合成している。食べる量より、合成する量の方が多い。なぜか。細胞の話から。細胞は生物が生きていくことのできる最少単位。直径10から100ミクロンの大きさでヒトの場合、種類は200くらい、個数は60兆個である。細胞の寿命は短いものは3日(腸上皮)からほぼ一生使える細胞(神経細胞)まであるが、細胞内は常に掃除をしている。細胞内構造は徐々に古くなり、機械と同じで、部品の交換や古くなったものを捨てたりする。しかし、細胞内にこのようなゴミをいれておくのはよくないこと。さて飢餓の時私たちは自前でタンパク質をつくらなければならない。この時使われるのが細胞内のタンパク質なのだ。また細胞は変化(分化)しなければならない。この時もオートファジーのシステムが利用される。リソソームの話をしよう。細胞の中は細胞核と細胞質がある。細胞質には細胞小器官とサイトゾルがある。細胞小器官には、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体、エンドソーム、リソソーム、ペルオキシソームなどがある。このリソソームは細胞内のごみ処理工場である。リソソームは色々な風貌をしており、中は酸性(PH4程度)で分解酵素が70種類も含まれここに運ばれてきたらなんでも分解される。タンパク質が分解されて生じるアミノ酸はリソソームの膜を通って細胞質内にもどっていく。いったいリソソームの中で何が分解されているのだろう。マクロファージという細胞が細菌を食べこむ時を考えよう。マクロファージが細菌を取り込む。これをファゴソームという。ファゴソームは細胞質内のリソソームと融合し、細菌は分解を受ける。外部のものを取り込み分解することをエンドサイトーシスという。細胞内部のものを分解するこれこそオートファジーであって、マクロオートファジー、ミクロオートファジー、シャペロン介在性オートファジーがある。マクロオートファジーとはか解離膜という膜が細胞内の分解したいものをとりまき囲い、リソソームと融合し分解するというもの。タンパク質はアミノ酸へ、多糖類は単糖類へ、核酸はヌクレオチドへ、単量体になり、細胞質内へもどされる。ミクロオートファジーはリソソームの膜そのものが内側にくびれこみ、やがてちぎれてリソソームの内部に小さな袋となってすっぽり落ち込むというものである。この小胞の内部にはわずかではあるが細胞質成分が含まれる。細胞質を少しずつたべるのがミクロオートファジーのしくみである。シャペロン介在性オートファジーは分解されるべきタンパク質がリソソームの膜を直接突き抜けるという裏ワザ的方法で、膜透過のための特別な装置が必要なる。どのようなタンパク質が選ばれるかというとタンパク質内部にあるアミノ酸配列があり、サイトゾルのシャペロン分子によって識別されてリソソーム表面へと運ばれるらしい。
オートファジーの役割の概略としては①飢餓に耐えること。細胞が外部から十分な栄養をとれない時にオートファジーはおこる。②発生の過程で大規模に細胞内を変えなければならない時もオートファージ―はおこる。③オートファジーは細胞内をきれいにする浄化作用も持っている。④オートファジーは自己成分以外も分解する。細菌やウィルスが細胞内に侵入したときなどおこる。⑤さらに抗原提示という免疫のひとつのステップにも関与する。つまりオートファジーは多岐に渡っているのだ。
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アンチエイジング新潟

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