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オートファジーの謎 を紐解く その2

第一章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
第二章 酵母でブレークしたオートファジー研究
第三章 自分を食べて飢餓に耐える
第四章 細胞の性質を変えるためのオートファジー
第五章 細胞内を浄化するオートファジー
第六章 相手を狙い撃ちする選択的オートファジー
第七章 免疫系でも活躍するオートファジー
第八章 オートファジーの研究最前線

第二章 酵母でブレークしたオートファジー研究

オートファジーはごく日常的な生命活動から病気の形成にいたるまでさまざまなところで私たちと深く関わっている。しかし研究がすすめられたのはわずかこの10年たらずである。最も困難だったのはオートファジー分子の特定であっただろう。さてオートファジーの発見に貢献したのは酵母であった。出芽酵母を用いた研究の利点は以下である。全ゲノム配列が明らか。イントロンがほとんどない。倍加時間が2時間と速い。保存が容易。1倍体でも生育可能。1倍体と2倍体の変換が容易などなどである。大隅博士は出芽酵母の液胞の主要な分解酵素を欠損した変異細胞を使うと何かみえるのではないかと観察していたところ液胞の中で何か小さな顆粒状の物が激しく動いていた。これはオートファゴゾームに含まれていた、細胞質成分が液胞の中に顆粒状となっていたものであった。つまり酵母細胞にもオートファジーのシステムが備わっていたのであった。大隅博士はオートファジーのできない酵母の突然変異体を探して単離することから始めた。出芽酵母細胞を処理して遺伝子にキズをつけ個別に増やして、オートファジーに異常が起こってないか検査する、大変な作業だった。これでオートファジー不能生物が誕生したこれはapg1変異体と名付けられた。このオートファジー不能細胞は生きてはいるが飢餓に弱いことがわかった。飢餓時に必要なタンパク質を作って生きぬかなければならないのに、この時タンパク質合成が間に合わず、早死にしてしまう。ここまでの話は1倍体の話であるが、2倍体(apg1 /apg1)でも飢餓に弱く、胞子形成が起こらない。オートファジーに必要な遺伝子はAPG1遺伝子と名付けられた。これはある種のリン酸化酵素をコードしていることが予測された。細胞内の情報伝達にリン酸化は必要なので、このオートファジー因子はオートファジーを引き起こす誘導役として働いていたのではないか。それではオートファジーは一つの遺伝子で十分なのだろうか。飢餓に弱い細胞を探すことによって、結果的には14種類の不能変異体が同定された。この論文は1993年の「FEBS Letters」に載っている。大隅博士はさらに4つの遺伝子を同定した。一方、世界ではヒトやマウスの全ゲノムDNAが解読されていた。これは恩恵であった。つまり酵母で分かった遺伝子配列と似た配列がヒト、マウスで存在するとわかってきたのである。その後オートファジー遺伝子はほとんどの真核生物に備わっていることがわかった。原核生物にはない。1998年以降哺乳動物のapg1遺伝子がいくつか同定され始めた。2000年ころからこれらの研究に火がついた。
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