FC2ブログ

オートファジーの謎 を紐解く その5

第一章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
第二章 酵母でブレークしたオートファジー研究
第三章 自分を食べて飢餓に耐える
第四章 細胞の性質を変えるためのオートファジー
第五章 細胞内を浄化するオートファジー
第六章 相手を狙い撃ちする選択的オートファジー
第七章 免疫系でも活躍するオートファジー
第八章 オートファジーの研究最前線

第五章 細胞内を浄化するオートファジー
私たちの身体を構成する細胞にはそれぞれ寿命がある。たとえば赤血球は120日、腸上皮細胞は5日、神経細胞は約100年。肝細胞は約1.5年。心筋、骨格筋もゆっくりと言われている。細胞は同じでも、細胞内は入れ替わっているのである。ユビキチン・プロテアソーム系によるごみ処理を復習しよう。不要となったタンパク質、傷がついて変性したタンパク質がターゲットとなりプロアソームによって分解される。どのタンパク質を分解するかという決断はどのタンパク質にユビキチンをつけるかという決断であり、これはユビキチン・リガーゼによってなされている。ユビキチン・リガーゼは常に細胞内を監視している。哺乳動物では約1000種類のユビキチン・リガーゼが存在すると言われている。ヒトの遺伝子は約2万個強。このうち1000個がユビキチン・リガーゼ関連遺伝子であるとすると当然病気の原因にもなりうる。実際、ある神経疾患ではその異常が関与している。最近の研究からオートファジーも細胞内品質管理に重要だということがわかってきた。前章で神経細胞はあまりオートファジーが起こっていないといったが、目立たない程度にはオートファジーはおこしている。これを基底レベルのオートファジーという。小松博士は神経細胞でのみATG7遺伝子欠損するマウスを作製した。正常に生まれてくるが生後4週間で運動機能に異常が出てくる。脳脊髄を顕微鏡で観察してみると、神経細胞の中に多数の凝集体(細胞内のタンパク質が変性してしまい、細胞内で小さなかたまりをつくってしまう。そのかたまりのこと)が貯まっていることがわかった。オートファジーが正常に起こらないと細胞内にゴミが貯まってしまうのである。ゴミが貯まるだけではない、一部の細胞は変性して,死滅してしまうのである。神経細胞のみならず、体中のさまざまな細胞でこの現象が確認されている。肝臓、骨格筋、心筋ではオートファジーを欠損させると、細胞が肥大化し、凝集体が蓄積する。そのままオートファジーが起こらないままだと、肝不全、筋委縮、心不全が現れる。おそらく寿命の長い細胞には、オートファジーが必須なのだろう。逆にみると、このごみ処理機能のおかげで、細胞寿命を長くすることができたのではないか。単細胞生物の場合は細胞の寿命が○分~○時間とタンパク質の寿命より短い。この場合はオートファジーはしばしば遭遇する飢餓に対応する手段である。しかし多細胞生物は個体寿命が延び、細胞の使い捨てだけでは生命維持が困難となった。そこでオートファジーを細胞浄化システムとして転用したのではないか。オートファジーをさぼるとなぜゴミが貯まるかは諸説ある。またオートファジー不能は腫瘍を誘発する。筆者らは、ATG5部分欠損マウス、肝臓特異的ATG7欠損マウスで肝腫瘍(良性だが)が発生することを確認して報告した(2011年)。ではこの腫瘍発生の原因は何なのであろうか?ミトコンドリアの品質低下という可能性がある。ミトコンドリアはエネルギーであるATPを作り出す過程で、活性酸素という副産物を作る。これはタンパク質や遺伝子を傷つける。オートファジー不全細胞を実際に調べてみると高度に酸化ストレス状態にあることがわかっている。活性酸素の過剰産生が続くと核ゲノムのDNAも損傷する。オートファジーが不全⇒ミトコンドリアの不良化⇒核を障害。という仮説である。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

アンチエイジング新潟

Author:アンチエイジング新潟
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR